設計について
考えて、案を描いて、打ち合わせをして、直して。時にはもっと良い案が浮かんだからと複数案を持って行ったり。一つの案にまとめないといけないのに。
目的地に向かう時に道を通っていて思うことがある。この道は集落を通るための道なのだろう。とか。この枝分かれした道は車の時代になって集落を避けるためにできた道なのかな。そしてさらに交通量が増えてバイパスができたのかとか。
道というのは一通りではなくて、いくつもあって。私の想像できる範囲にはなるけれど、いくつもの景色を一緒に見ることが大切だと思っている。図面をもう何回も何十回も描いているけど、それは後悔したくないから。ああすれば良かったのにと、できてから私は思いたくないし、思わせたくない。後悔をなくすことは難しいけど、減らすことはできる。本当はああしたかったのにという思いを抑えて心に抱えたまま設計をしたくない。
きっと利益率とかを考えると、こういうやり方はだめなんだと思う。作業の効率は考えるけど、でも気持ちの効率化はできないと思うし、然るべきプロセスがあると思っている。そういう考え方に凝り固まっているところが一番ダメなんだろう。だからひとりでやっている。
いろいろ考えた結果、私の役割は、それぞれの暮らし中で住まいにストレスを感じさせないようにすることなのだ。人が幸せに長生きをして、家が長持ちする。そんな家を作りたい。