椅子の系譜
大学や新社会人教育の授業では必ず椅子の系譜の話をします。人間が作り出したものに、無から生み出されたものはほとんどなく、古き良きものや記憶や体験から生まれたものがほとんどであるためです。大切なのは何を咀嚼して簡略・模式化をし、模索し、生み出したものを俯瞰することだと思います。このことはデザインだけではなく、生きていく上で必要な能力だと思います。
18世紀の産業革命の時に、急激にイギリスのロンドンに人が集まり出しました。住まい環境が悪化し、物資が不足勝ちになりました。当然家具も足りなくなり、ロンドン近郊のハイウィカムという街でろくろで作った丸棒を組み合わせて作られた家具が大量に生産されるようになりました。作られた家具はテムズ川でロンドンの街まで運ばれます。これらの家具はウインザー家具と呼ばれます。なぜウインザーと呼ばれるのかというと、これらの家具がロンドンから見てウインザーの方から家具が運ばれてくるからです。
産業革命によって、今の私たちの暮らしがあります。資本を持った人が労働者を雇い商品を作り利潤を得て富を分配する。そのために人が集まり働き人が移動する。皮肉にも資本主義が生み出したシステムにコロナウイルスが乗って拡がっているように思います。
この機会に働き方を考え、さらには生き方の改革をしていかないのかもしれないですね。