iPod

アップル社の携帯型デジタル音楽プレーヤーiPodは2001年に発売されました。初期のものはホイール部分が回転しその周りにコントロールボタンが四方に配置されていました。そのホイールを回転させたときにカタカタと鳴る音に愛らしさを感じました。
裏面はステンレスを鏡面に研磨した美しい仕上げになっていて、実はこの仕上げは江戸時代から続く新潟県燕三条地域の加工技術が生かされています。アップル社は工場を持たない会社です。私の所持している初期型は組み立てが台湾と記されていますが、残りの2台は中国になっています。ステンレス仕上げの依頼がアップル社より燕三条地域に来たわけですが、彼らは常にコストを削減の意識が高く、いつでも部品調達や組み立て工場の選択肢を検討し続けているでしょう。ある時、実際に加工している燕三条の工場へアップル社のスタッフが出向き、了承の上ステンレスを研磨する作業のビデオに収めて帰っていったそうです。それ以降ステンレスの加工はアジアの他の国に移されてしまったそうです。
日本の職人の技術の高さは誇れるものがあります。日本の技術が、撮られたビデオで分かる程度の浅いものではないしそれをコピーした技術なんてと私は思います。ですがきっと世界はそこまでのものを求めてはいないのでしょう。特にアップル社のようなマーケティングとデザインで成り立っている会社はある程度の水準までのものが正確に早く安く大量にできることにメリットを感じるわけです。そこには私たちの持つ「情」のようなものは必要ないわけです。
これからは世界的(グローバル)な視野を持つと同時に日本的な地方(ローカル)の視点の両方を持つことが求められます。技術はいつか盗まれるということを前提に、日本の文化の本質とは何かを考えながら生きていく必要があります。何が盗めて、何が盗めないのか。
ちなみにiPodの「Pod」は(えんどうなどの)さやとかジェット機の主翼下のエンジンの覆い(ライトハウス英和辞典)を意味します。外装がステンレスのタイプはさやのようですし、アルミのタイプは筒状なのでエンジンの覆いともとれます。

左:iPod 第1世代5GB(2001年)
中:iPod 第5世代30GB(2005年)
右:iPod touch 第2世代8GB(2008年)